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【医療DX令和ビジョン2030】

医療DXと施策の最新状況

後編
作成日:
2026-05-29

前回のコラムでは【医療DX令和ビジョン2030】の取り組みとして、医療現場で既に動き出している「マイナ保険証」と「電子処方箋」の2つについて解説をしました。

本稿では、その続きとして「 救急時医療情報閲覧」と「サイバーセキュリティ対策」についての最新動向を紹介します。

 医療現場で動き始めている施策 後編

 ― 救急時医療情報閲覧とサイバーセキュリティ対策 ― 

1. 救急時医療情報閲覧

令和6年12月に開始された「救急時医療情報閲覧」は 救急搬送された患者のレセプト情報に基づく医療情報を、マイナ保険証による本人確認のもと、同意が困難な場合でも閲覧が可能となります。対象は主に一次から三次の救急患者を受け入れる病院です。

令和7年6月2日時点で導入済み施設は 749施設 に上ります。 2024年度(令和6年度)の診療報酬改定で、総合入院体制加算・急性期充実体制加算・救命救急入院料の施設基準に本機能の導入が要件として追加されました。

また現場からは具体的な活用事例が報告されています。意識不明の患者が抗凝固薬を服用していることを確認し、拮抗薬の投与を判断ができた事例や、受診歴からかかりつけ医を特定して問い合わせができた事例など、救命に関わる現場での有効性が示されています。

マイナ保険証による本人確認で、個人の医療情報が取得できるようになった一方で、今後は取得された医療情報をどのように管理していくか、それぞれの病院での対応が求められます。

次の章ではセキュリティ対策の側面から現状を整理していきます。

2.サイバーセキュリティ対策の現状

国の定義している重要インフラの一つに医療が含まれており、これに関するサイバーセキュリティ対策は医療DXの重要な要素となります。また令和5年4月に医療法施行規則が改正され、サイバーセキュリティ対策は法的義務となりました。

近年もランサムウェア被害は大きな問題 です 。直近では令和8年2月に日本医科大学武蔵小杉病院 や令和6年5月に岡山県精神科医療センターの被害についての事例が報告されています。

セキュリティ対策の見直しは令和3年の半田病院の事例をきっかけに大きく変化しました。

その後、令和4年度診療報酬改定の際には、診療録体制加算において非常時に備えたサイバーセキュリティ対策が講じられるよう要件が追加されました。

病院が実際にランサムウェアによるサイバー攻撃を受けた場合の影響について、厚生労働省は以下のように記しています。

・患者への影響

個人情報の暗号化や詐取、金銭要求による情報流出のリスクがあります。また、 過去の病歴等の再聴取が必要となる場合もあります。

・ 医療従事者・現場への影響

診療録等の滅失・毀損や過去のカルテとの電子的な突合ができず、手作業となるリスクがあります。また電子カルテに慣れている医療施設では、紙カルテでの運用による業務負担の増加が懸念されます。

・法令と診療報酬への影響

 診療録等が完全に復号化できない場合、医療法第21条等に抵触する恐れがあります。

 また被害状況によっては請求事務に影響を及ぼすほか、「データ提出加算」や、それを要件とする「入院基本料」の算定に影響が生じる場合があります。

このような課題を踏まえ、国は医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版(以下、ガイドライン第6.0版)を公開しています。

ガイドライン第6.0版では以下のように明記されており、ランサムウェアでは脆弱性対策が見逃されがちである点を指摘しています。

「サイバー攻撃においては、近年は、情報機器等に内蔵されるファームウェアや、情報機器等に格納されるプログラム等の脆弱性、EOS(End of Sales, Support, Service:販売終了、サポート終了、サービス終了)の対象となった情報機器等を攻撃して、外部から攻撃するなどが多くみられている。特にランサムウェアなどのケースでは、必要な脆弱性対策が見逃されたことに起因するものも見られる。 」(引用:p22)

次回のコラムでは、このセキュリティ対策の要とも言える「多要素認証」の仕組みや、医療現場における重要性について解説します。 

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 出典

1. 厚生労働省「医療DXについて」中央社会保険医療協議会資料(令和5年4月26日)

   https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001091100.pdf

2. 厚生労働省「診療報酬改定DXについて」対応方針資料

   https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001140175.pdf

3. 厚生労働省「医療DX推進本部」工程表概要(令和5年6月2日)

   https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001140172.pdf

4. 厚生労働省「医療DXの推進について」進捗状況資料(令和7年7月1日)

   https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001511374.pdf

5. 厚生労働省「医療DXについて」中央社会保険医療協議会資料(令和7年12月19日)

   https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001616557.pdf

6. 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」システム運用編

   https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001582980.pdf

7.医療法施行規則の一部を改正する省令について

https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001075881.pdf

サイオステクノロジー つつみ
サイオステクノロジー 医療DXチームの営業担当。医療機関のデジタル活用や業務改善のヒントを発信し、精神科病院を中心に現場に寄り添ったDX支援を行っています。

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